ともみ@ピクニック

三.「仕事をすると、死にたくなる」

わたしが好きなエピソードのひとつは
「労働者災害保険局」に勤めていたカフカが
法律の不備のせいで労災年金をもらえそうに
なかった初老の労働者のために、こっそり
弁護士に相談し費用も黙って負担して
年金をもらえるようにしてあげた・・・という話。

しかし、カフカ、自身の人生がラクだったわけではない。

普通の人にとってはとるにたらない雑事でも、カフカにとっては大きな障害となります。人間が簡単にまたいでいく水たまりでも、もぐらが溺れるには充分な場合があります。日常はさまざまな困難に満ちていて、日常を生きることはじつは大冒険なのです。
(42頁)

彼は何ヵ月もの間一種の眠り病に陥ってすっかり絶望していることがよくあった。
(65頁。「彼」とは、友人ブロートから見たカフカのこと)

就職して自殺を考え、工場ができてまた自殺を考え、生きるための仕事をさせられるたびに、かえって絶望して、命のロウソクが消えそうになるカフカでした。
(81頁)

三度も婚約して、三度とも破棄に至った生涯からも
彼が一般的な「幸福の果実」をやすやすと齧れる
タイプではなかったことがよくわかる。

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