ともみ@ピクニック

「セラピスト」1

だいぶ前に読了した、最相葉月さんの
『セラピスト』の感想メモを書いておこう。

          

あー、読み応えある、渾身のルポだった。

さいごの章に、こんな著者の吐露がある。
いや、違う。私も、知りたかったのだ。心について取材しながら、自分の心を知りたかったのだ。私は、自分のことなら知っていると思い込むことで、自分を直視することを避けてきた。人に話をしてもどうせわかってもらえないだろうと決めつけることで、人に心を開くことをできない人生を生きてきた。中井久夫はそれを私に伝えようとしたのである。(440頁)

まわりまわって、著者が、この取材を始めた
おのれの隠れた動機に気付く場面だ。

なお、中井久夫とは精神科医であり
「風景構成法」という心理療法の発案者であり
著者は彼のもとに通い、実際にカウンセリングの
一端を体験している。

日本の心理療法家といえば、河合隼雄が有名であるが
著者は彼が登壇する前の日本の精神医療の夜明けから
現在のカウンセラー事情まで、丁寧に追跡し

さらに取材の対象を自身の存在にも置いて
この作品を仕上げている。

まあ、作家のサガかもしれないし、それにより
自己治療の一端にもなっているのだろうけど・・・
わたしは読者として、最相さんに敬意を払いたい。

ところで
本書には数々の「へぇ~」と思わされる
エピソードがあったのだが

精神の病といわれるものにもトレンドがある!
という話には、「へぇ~、へぇ~、へぇ~」だった。

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