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星野さん

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『未来の記憶は蘭のなかで作られる』
(星野智幸・著)2014年

前にチキさんのラジオ番組のゲストとして
星野さんのお話を聴き、「気になるな。
いつかこの人の本を読んでみよ」と
思っていたのだ。

本業の小説ではなく、デビューから
十七年間つづったエッセイの精選なのだが。

わたしと同世代の星野さん、こんなふうに世界を見て
こんなふうに言葉を懸命に武器にして、なんだか
「生きていることの信頼感」を強めてくれる
作家さんだなーと思った。


インドのある作家についての星野智幸さんのエッセイ。

モハッシェタさんはどこかのインタビューで、「なぜ、少数民族について書くのか、自分でもわからない。それは私のオプセッションだ」と言っており、私は実際にお会いしたらこのことを突きつめて聞いてみたいと思っていた。

「かれらのもとに行くようになったのは、何を考えたわけでもなく、論理的な帰結でした。白紙のまま、反応も期待せずに、かれらのところへ行ったのです」というのが、モハッシェタさんの答えだった。そして、「自分の力は小さいから、私の作品について人がどう思うかは考えていません。わかってもらう、とか、わかりあえる、と言うには、人生は短すぎる。そこまでのつきあいをするには短すぎるのです」とつけ加えた。

(中略)

私はしびれた。五年前から日本で日本語で書き始めた私は、今でも、なぜ書くのか、書く意味があるのか、私は誰のおかげで成り立っているのか、といった存在理由を問い続けずには、書くことができないでいる。ともすると、そんな内省自体が小説のテーマになるという自己言及の迷路に迷い込む。

だが、モハッシェタさんは、そんな罠をやすやすと突破してしまう。理由を問うという小市民的な小賢しさ、アイロニックなアリバイ作りを、置き去りにして突き進む。そうすることで、「書いている私」という自意識が、小説から消えていく。

この自意識のなさ、潔さが、モハッシェタさんの小説の言葉に深い力を与えていると思う。他者への想像力が、「他者を思う私」ではない場所から発揮されているように感じるのだ。


(『未来の記憶は蘭のなかで作られる』185~186頁、「自我を突破せよ」より一部引用)

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はえともみ

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開き直って生きてたら
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→ 近年は、老母の観察メモの
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