ともみ@ピクニック

老老介護とその娘

先日、途中から観たテレビの特集が
印象に残っているので、ちょっとメモしておこう。
・・・記憶のみで書く。間違いあったらゴメンナサイ。

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東京で働いている、ある女性が
(見た感じ、50代くらいか)
広島の実家にいる両親のことを
(87歳の母、95歳の父)案じている。

特に、母は軽度の認知症。

洗濯物は何週間分も溜め、女性(娘)が
「一緒に手伝うから」と何度言っても
母はそれを断り、しまいには、山積みの
洗濯物の上で疲れて寝てしまう。

家のあちこちに、認知症のシグナルは出ていたんだ。
なぜ、もっと早く、自分は対処しなかったのだ。と娘。

父に、「仕事を辞めて、帰ってこようか?」
と話しても、「まだ大丈夫」の返事ばかり。

(なにより、娘を気遣っているのであろう。
そして「老老介護できる」の自負もあるのだろう)

母は外に出られないので、買い物は父の役目。

ヨーグルトとか、食パンとか、そのまま食べられる
ものばかりを買ってしまう。

そして自宅から5百メートルほどの店から
何度も休憩しながら父は帰ってくる。

娘は、できるだけ頻繁に実家に帰るようになる。

ある日、知り合いのカメラマンをつれて実家に戻る。

(今までは、娘本人がカメラをまわし、両親の様子を
撮影していた。この日は撮影を知り合いに頼んだのだ)

何年ぶりかの来客に、両親はよき緊張感をもつ。

母は口紅をさし、父は得意の挽きたて珈琲をふるまう。

そして母はカメラマンとのおしゃべりをたのしみ
父は珈琲をおいしいと褒められ喜ぶ。

ずっと閉じていた家族に外の風が吹き
この日から明らかに空気が変わった。

娘は、初めて、地域包括センターを訪ねてみる。

今まで、ヘルパーさんを頼んでみようと思ったことも
あったが、父も母もともに、家に他人が入ることは
「かえって気を遣う」と嫌がっていた。

娘はこのとき、両親の暮らしぶりのビデオを
センターの人に見てもらった。

そして
「あなたは、十分にやっていますよ」と
センターの人に言ってもらい、娘はほっとする。

(テレビには映ってなかったが、泣いたのじゃないかな。
これまで一人で抱えていたものが大きかったから。
と、わたしは思った)

「これまで、(実家の)近所の人たちから
“親の世話もしないで・・・・” と、無言に責められている
ような気がしていました」と、娘は告白する。

「当時者さん(ご両親)と、センターを結びつけてくれた。
これがあなたのやるべきことなのですよ、ありがとう」と
センターの人は答える。

ここから、話はとんとんと進む。

母は、「要介護一」の認定を受ける。

そして、ケアマネさんをはじめ、福祉の関係の人たちが
大勢家に集まる。

そこで、母はびっくりする態度をとる。

ニコニコと、冗談まで飛ばし、来客とお喋りをするのだ。

そして提案された、ショートステイに行く話も
機嫌よく受け入れ、契約まで済ませる。

が、来客が去ったあと、母、一変。

「ショートステイ、行きたくない」と言い出す。

しまいには、「ワタシはこの家におったら
邪魔なのか・・・」と、しくしく膝を抱え泣く。

ごねる、ごねる。泣く、泣く。すねる、すねる。

「みんなの前では、エエ顔して、ほいほい
“行きます” 言っといて、なんじゃ、そりゃ」と怒る娘。

そして、ショートステイ、初日。

娘は心配で、タクシーに乗り、あとを追い
様子を見に行く。

そこには、昔に返ったような母の姿があった。

初対面の人と旧知のように談笑し
なごんでいる。

ゲームや塗り絵、食事もし

膝を抱えてしくしく泣いていた姿が
まるでウソのようであった。

無事に帰宅した母は、生き生きとしていた。

(初めてのところに行くのは、誰だって億劫。
歳をとるとなおその傾向は増すのだろうし
この母は、ことさら他人に気を遣う性分を
もともと持っているようであった。
でも、新しいところに行ってみると、意外に
楽しいこともあるんだよね。

特に、ひきこもった生活が続いたあと
・・・この母は閉じこもり、来客もなかった・・・
外の世界に出て行くのは、すご~く心的負担が
あるわけだけど、実は収穫も大きいのだろう)

「みなさん、いい方ばかりで」と
デイサービスの感想を語る母。

労いの珈琲を淹れる父。

その晩の食卓には、久しぶりに母の手の入った
あたたかい品が並んだ。

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さて、この手の番組を観ているとき
わたしは「我が身」に置き換えている面も
もちろんあるのだが、それ以上に
人間の普遍を見ているのだと思う。

子の、遠く離れて暮らす親への心配。

父は父で、できないことを十分自覚できない。
自覚できていたとしても、SOSを出せない。

父と母ともに、よその人に、自分たちの
暮らしを乱されたくない思い。

でも、ひとつ戸を開いてみたら
案外そこは呼吸しやすくって、という。

ここに映る人々は、普遍の人であり
わたし自身でもある。

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