ともみ@ピクニック

ソロー本(1)

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『歩く』(ヘンリー・ソロー/著、山口晃/編と訳)

晩年の講演をもとにしたエッセイ「歩く」の日本語版と
山口氏の解説「歩く人ソローの覚書」よりなる本。

ソローは1800年代のアメリカに生きたお人。

私が森で暮らすことにしたのは、慎重に生きたいと願ったからである。人生の根本的なことだけに向きあうことを望んだからである。そこから私が何か学ぶことができないだろうか、いよいよ死ぬときに自分は生きなかったということを発見することがないように、と欲したからである。私は人生と呼べないようなものを生きたいとは思わなかった。(孫引きとなる『森の生活』より)

山口氏は、< 「歩く」は人間の尊厳をめぐる戦いの中で
「絶対的な自由」のために書かれたのである> と評する。

ソローのエッセイ「歩く」は、一読だけでは
十分に吸収し得たとはわたしには言いがたく
また年月をおいて読んでみたい。

代表作『森の生活』を未読であるが
わたしはソローについて、以前より
「資本主義的な渦にのまれず自分というものを
大切にするため、より自然に寄り添い生きることを
選んだ人」というイメージを、漠然ともっており

本書を読んでそのイメージに間違いはなかったと
感じたものの、ソローにはもっともっと違う面も
あるのだとを知った。

南部の逃亡奴隷を北部で見つけた場合、南部に強制送還する
法律が可決された時代、ヘンリー・ソローは、逃亡奴隷をかくまい
熱心に世話をし、さらにはカナダへ逃げる助けをしていたのだ。

また、ソローは、意図して人頭税の支払いを拒み
留置場に入れられるのであるが、これは「奴隷制度」に
町の人々の注意を劇的にひきつけておくための策であった。

彼は体を張った思想家であったのだ。

彼の有名なエッセイ「市民政府への抵抗」は
ガンディーやキング牧師に深い影響を与えたという。

ソローは近代化する社会生活に疑問を感じ
そこから距離をとる人生を選択したわけだけど
人間嫌いとか、人を寄せ付けないのではなく、むしろ
友情やまわりの人々を大切にした生涯であった。

これらのソロー像は、山口晃さんの解説
「歩く人ソローの覚書」より知ったことだ。

山口さんの文章は、ソローの人生を
細かく丁寧に紡いでおられる。

(ソロー最期の日々も味わい深かったなぁ)

わたしはその一人であるけれど、山口さんの解説により
ヘンリー・ソローへの興味をますますもった人は
多いのではないかしら。

(続く)

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